人生悲喜こもごも

演劇、哲学、うつ、人間関係など、日々感じたり考えたことを書きます。

セリフがうまい役者とは

演技のお話です。

 

セリフがうまい役者とは、文脈にあったニュアンスをセリフにのせて伝えることができる役者のことです。

 

同じセリフでも、文脈によって、ニュアンスは千変万化します。

 

ニュアンスの中には、意味、役のキャラクター、などが考慮されます。

 

台本に「バカ!」

と書かれているとしても、このひとつのセリフには、様々な意味があるのです。「バカ」というとふつう相手を侮辱することと考えられますが、侮辱ではなく、叱るという意味でのバカもあれば、単に怒りの表現としてのバカもあります。あるいは、恋人に対して、好きな思いを「バカ」に込めることもあります。

これらの意味を文脈の中できちっととらえることで、セリフとして発せられたニュアンスは当然変わってきます。

 

もうひとつは役のキャラクターです。演じる役がどんな人物なのかによっても、セリフのニュアンスは違ってきます。相手を侮辱する「バカ」でも、高圧的なタイプ、腰の低いタイプ、やさしいタイプの人がいうのでは当然ニュアンスは違ってきます。

 

これらの意味やキャラクターを踏まえてひとつひとつのセリフのニュアンスは決定されていくのですが、それらは勝手に役者が決めることではなく、あくまでも台本を根拠にして、台本からそのニュアンスをくみ取らなければなりません。

 

その意味でセリフのうまい役者とは台本が読める役者なのではないかとおもいます。